第9地区のレビュー、感想、(ネタバレあり)

これ、結構評判良いみたいなことを聞いて、少し気になっていたのだが、無料アマプラなので見てみました

(なお、無料期間過ぎてたけど、ブラウザで開いていれば無料期間過ぎていても見れるっぽいな。)

 

そして序盤、なんかこう、インターステラーとかメッセージ的な、神聖な感じの、SFと言った感じの雰囲気かと思ったら、予想外にギャグチックだったというね…w

 

いやなんか、第9地区とかいう、シリアスめなタイトルとか、SFというジャンルから、そういうのを想像してたんだけど、あまりにも主人公のヤンキーさがすごいというかなんというか。

 

まず、序盤はまだ猫被ってるんですよ。インタビュー形式で(刃牙でよくあるやつ)、「ああ、あいつは…なんであんなことを…!」みたいな感じで。

 

でも主人公がなんかに抜擢されてからは、なんか最初はその主人公もまともそうな言動だったんだが、いきなりエイリアンに対して、「移住してくださいよ、しろ!」みたいな感じでヤンキーになるというね…w

 

いや…っていうかさ、SFってリアリティ的なものを重視している風潮があるから、このときはまだ何か理由があるのか?って感じのガバガバ設定があったんですよね。

 

まず、エイリアンを地上で開かれた感じの場所に置くのはやめよう?

普通こういうのは菌とか持ってるかもしれないから、密封された研究室とかにやるだろ普通は。

でもなんかいきなりスラム街みたいな感じで地上に住まわすのって、ナニカ理由があるんだろうかと。(まあ無かったんですけどね)

 

そいうツッコミどころとか、あとエイリアンに対して無防備すぎるだろみたいな。なんか菌に感染するとか未知の危険に対してもっと怯えるべきではとか。(実際主人公エイリアン化するし…)そんな生身でサイン求めるってなんだよ!

 

っていうか移住サインとか必要なのか?ニンゲン扱いみたいな感じなの!?あんな見た目でみたいな。

あと生態系ボロボロだろとか。普通の魚や植物でさえ国家間をまたいでしまって生態系がぼろぼろになってるのにさとか

DNAに反応してエイリアンしか使えない機械とか、意外と技術力高いなとか。(だったらもっと技術を得るためになんか調査するべきなのでは…?)

 

それがなんか、現実感がなくて、わざとやってるんじゃないかと。ギャグの世界なんですよね。

 

でもまあそういうツッコミは、制作方も想定しているっぽいんだよな。

 

アマゾンの感想欄で「制作側もオモシロイと思ってやってる」みたいなことが書かれていて、やっぱりなと。

 

結構このノリ、好きですね。

 

なんというか、マッドマックスのウォーボーイとか、北斗の拳の敵とか、ヤクザ映画とか、なんかこう、ダメなものを愛でる文化ってあるじゃないですか。

 

愛でるっていうか、「まあ悪人だし、死んでも心痛めないし、むしろ死にざまが花形」みたいな。

 

主人公含め、ほとんどの登場人物がクズというか、感情移入できないからこそ、腕とかがちぎれたり、全身がパーンしても「気持ちいい~!!」っていうかね。

 

むしろこのスプラッタ描写、すごい良いなと思った。

 

主人公の手がエイリアン化したから、エイリアンの武器を使えるんですけど、その武器から電撃がビリビリと走った瞬間、相手の全身が腕がパーンされるというね。

 

メタルスラッグで敵を殺す時の快感を思い出すというか、友達は「敵さん可愛そう」って言ってたけど「いやこいつら悪い奴らだし…」って思って全然可愛そうに思えなかったわけなんだけど。

 

そういえば、100万ボルト(電気屋)の試遊機でメタリギアソリッドライジングをプレイしたことがあるんですが、主人公が敵を好きなタイミングで好きなようにスライスできるっていうやつ、それも気持ちよかったな。

なんというかそういう開放感というか、物を壊すっていうのは単純にストレス解消に成るんですよね。

なんか東京とかにはお皿を好きなわけ割れるみたいなそういうアミューズメントがあるらしいし。

 

そういう感じで、この映画もそのスプラッタ描写とかが気持ちいと思っていたんですが、

アマゾンの感想コメントで「スプラッタは本物の肉を利用していて、こだわりぬいている」みたいな事が書かれていて「ああ、だからあんなに気持ちが良いんだな」と納得しました。

 

でも少し不満なのが、主人公を追う人間サイドのボスキャラみたいなやつが、最後に死ぬシーンだけど、あれわざとやってんのか?

 

なんであんなに引っ張って引っ張って、「どういう死に方をするんだ・・・!!」視聴者にストレスと期待を貯めておきながら、あっさりと死ぬっていう…しかもカメラが遠いって!!せめてちゃんとクビが取れるところを見せてよ!!

 

その点が不満だけど、これもわざとやってるのかな…それならそれで製作者に対する信頼に値するよな。クレイジーだと。

 

 

あと、武器の描写とか、反動とかもこだわっているらしい。だからなんかエイリアンの武器が気持ちいいなと感じるのはそういうことだったんですね。普通の低予算サメ映画は、そういう反動とか全くないじゃないですか。なんかリッチな感じがするよね。そういうところ。

 

他にもスラム街とか車とかもちゃんとこだわっているらしい素人目にはまったく分からんが。

 

あ、あともう一つ良いなと思ったのは、主人公が謎の液体を浴びてエイリアン化するシーン。

 

あれすごい見ててハラハラするところだよな。っていうか「もうやばいって!!熱いとか言ってる場合じゃねーよ!すぐ行け病院いけ!」っていうツッコミを全員してると思うけど、

ともかくあの、爪が歯や取れるシーン、あれもちょっと気持ちよかったな。

 

 

なんというかかさぶたを剥がすみたいな、そういう気持ちよさがあったよね。

傷の治りかけの経過を見ているようなぞくぞく感というか。

スプラッタや武器に比べて地味だが、こういうところもちゃんとしているのは好感が持てるよな。

 

なんか鼻から黒い血を出したり、食べ物に血をぶっかけるとかも、その…破壊的で良かったよな。人間関係的にやってはいけないことをやるみたいな。

 

もしこれが感情移入できる共感性の高いキャラなら「うわきっつ…」ってなるけど、そういう意味で主人公がダメダメでクソなニンゲンというのは、とても素晴らしいと思うよね。

 

 

主人公のダメダメさが現れるのはもう序盤中盤終盤、全てにおいてなんだけど、特に俺が好きなのが、終盤、なんかエイリアンのアーマーを着て無双するんだけど、

 

この圧倒的な有利な状況で追い詰められるというね…w

 

こんなすごいアーマーを手に入れながら、よくここまで不利になれるなっていう。そういう面白さというか、グダグダ感が良かった。シュールギャグ的に。

 

相手もさあ…、仲間がワンパンで殺されてるのに、全然前に出すぎだろと。お前らすごいなむしろ。死ぬのが怖くないクラピカタイプのやつがゴロゴロいるよな。やべえよ。

 

もう敵も主人公も面白すぎた。マジで。

 

 

 

 

なんか、総評すると、正直この映画クソ映画というか、まぎれもないB級感があったんですが、

 

資金がなくてB級臭に仕方なくせざるをえないのではなく、わざとB級にしているみたいな、そういうタイプの映画っぽいですね。

 

感想コメントで、「クソ映画シナリオも設定もめちゃくちゃだけど、引き込まれる」みたいな感じで、割りと辛辣なコメントが多いのに、☆4が多いんですよね

 

なんか理性では「いやこれダメ映画だろ!」って思ってるのに、見終わったら「ああ、楽しかったな」みたいな、そういう充実感を感じてしまう。

 

楽しかったというか、「いや主人公めちゃくちゃクソムーブしてるのに、何キレイに終わらせてるんだよ!」みたいな。そういうツッコミというか心残りがある。

 

なんか最後だけシリアスにしても俺は騙されないからなみたいな。大日本人の逆バージョンみたいな。

 

そういう点からみても、この映画、すごい映画だ……稀有な作品だなって思うわけですよね。