ハンターハンター話をしようと思います。
というのも、ふと思ったんですが、ハンターハンターって、結構「等価交換」だったり、「二者択一」だったり、そういうテーマが物語の随所にあるなと。そういう部分が印象的だと思ったわけです。
章とわず、全体としてそういったものが散見する。
つまり何かを得るためには何かを捨てなければならない。みたいな。
具体的にいうと、
まず序盤で印象的なのが、ドキドキ2択クイズ。
ハンター試験の最序盤において、老婆が「お前の恋人と親、どちらか助けるとしたらどっち?」というのがあった。
それで有名な「答えは沈黙」が出たシーンなんだけど、
それもまた何かを捨てなければ何かを得ることはできない、という印象深いシーン
そして制約と制約。
縛れば縛るほど強くなる的な。それもまさしく等価交換だよな。
ヨークシン編でも、旅団やクラピカ一行が、「仲間を取るか復讐を取るか」みたいな選択があったし、
そしてゴン、
ゴンは自分の命を捨てて船から落ちそうになった船員を助けようとしたり、絶で相手のコマの動きを見切ったり、あるいはゴンさん化で念能力を差し出して強くなる、ボマーなどの犯罪者を見逃した一方で恩人を殺されるなど、
等価交換的なシーンが多い
ただ、ハンター試験のトリックタワーの最後に穴を開けてメリットだけを享受するとか、壁を破壊してノブナガから逃げるなど、そういう型破りな等価交換を破っているシーンもさんけんする
クラピカも念能力が正しくそう。
命を削って強くなる系のやつじゃん。
仲間の目を取り戻すために自分が暗部に入っていくところもあるわけだし。
そういう意味でゴンとクラピカって似ているところがあるキャラだよな。自分を犠牲にしがちなキャラというか。性格は反対だが。
キルアとレオリオは…結構そういうところ少ないよな。
クラピカとゴンが、そういう何かを犠牲なしに的な等価交換的主人公キャラだとしたら、キルレオは一般的優遇され主人公キャラっていう感覚。
図にすると
クラピカ ゴン
キルア レオリオ
で、左に行くほど殺伐としていて、上に行くほど自分を犠牲にしがち、みたいな。
特にキルアは、かなり等価交換的な原則から外れている存在だと思う。
まず念能力なしでも強いし。念能力なしで分身できるし。ビスケがその力を手にするために「毎日が地獄だったはず」とか言ってるけど、かなり余裕そうな表情なわけじゃん。
電撃による充電も、痛みはあるけどすごい見てて余裕そう的な感じなわけで、
そしてカンムルとかそういうのもなんか最強格能力だし。
そしてナニカによってさらに公式チート化してしまったわけですわ。
ナニカ自体は「願いを叶えたらその願いの重さに比例して何かその他を犠牲にする」という、ハンターハンターの等価交換的なテーマに沿っているにも関わらず、
キルアの存在によってすごい…ヌルくなってしまったというね。
ちょっと話はずれるが、ナニカって、最初から無条件で願い叶えてもらうっていう設定だったら、(つまり最初からキルアによってチート化してしまったら)、「ないわー」って言われていた存在だよなぁ…
あの「願いを叶えて貰う代わりに本人以外も巻き込む」みたいな、そういうシリアスというかグロテスクな描写がなければ、「いやナニカとかハンター世界に合わないだろ!」「冨樫大丈夫?休載する?」とか言われてそう
スターウォーズのフォースで宇宙遊泳して炎上したみたいな。そういうファンが「世界観に合わないだろ!」的なことになってそう。
最初にああいうナニカのグロ等価交換で読者を不安視させたから、その後キルアパッチでチート化しても「ああ良かった」で読者の気を逸らすことに成功した。
そういう意味で等価交換なんだけども。
そう考えると、冨樫はそこまで考えて…!?って思うんだけども。
ともすれば、そこまでしてキルアをチート化させたかった理由があるんだろうか…?
なんか絶対この後キルア&ナニカが話に関わってくるのは明確なんだよなぁ。
でも何でもありになるからなぁ、ナニカ&キルアって全知全能の存在じゃん。
例えば新世界ですごい強い敵が出てきてクラピカとかが死にそうになった時、こいつらが出てきて「待たせたな!」みたいな感じで敵を倒す展開とか出てきたら、もう全部コイツラでいいじゃんってならないかな。
つまり、そういう寒い展開にならないために、新大陸ではナニカ以上のチート級の存在が出てきてキルア&ナニカを圧倒する展開になるのでないか
もしくはアリ編のヒソカみたいに空気になるとか。まあこの可能性のほうがでかい気がするわ。
まあいい話を戻そう
ともかく、このテーマ、ハンターハンターにおける等価交換の特異的な部分は、「負債を追うのは必ずしも本人とは限らない」ってところだろうな。
例えばリスキーダイズとか、ナニカとかもそうじゃん? 周囲を巻き込む感じのやつじゃん。
だいたい物語っていうのは教訓的なものだから、行動を起こしたやつが負債を負う、損するというのが普通なんだけど、割りとハンター世界ではそうじゃないことも多い。
今進行中の新大陸編とかも、災厄を持ち帰るかもしれないのに冒険する、とかいう、一般人に被害を被る確率が高いことを平気で行うみたいな。
もう滅んでないのは運だけみたいな作中のセリフがあるけど。それもまた、一般人が被害を負う伏線じゃん。
いや、逆になんか新大陸からアイテムを持ち帰って、世界が一変するみたいな、それで人々の生活が潤うみたいな、そういう展開の可能性も考えられるけども。
でもそれって念能力でなんとかなる部類にはならないんだろうか?
いや念能力も万能じゃないのかもしれんな。メモリが足りない的な。
わざわざ新大陸からお宝持ち帰りたいっていうならそういうことだよな。そういうことにしておこう。
そういう意味でなんかオーバーロード的な、全ては運だけ、悪人が罰を受けるとは限らないし、善人が救われるとは限らないみたいな、無慈悲な世界ではあるけども。
ハンターハンターはオバロと違って主人公が解釈違いみたいなことが少ないから…(擁護)
なんかハンターハンターは主人公上げ的な展開がしつこくない(存在しないとは言ってない)からな
そういう意味でなろう的な批判展開の問題点って、量の問題もあるよね
主人公上げがダメなのではなく、その量を小さくすれば的な
まあ話を戻す
つまりハンターハンターの裏テーマは、等価交換なんだよ!(あくまで俺の妄想です)
このグロさというか、おぞましさというか、理不尽さが、ハンターハンターが評価されている部分でもあるよな
だからこそ、ヒソカがマチを殺さなかった件について「なんとなく」(意訳)みたいな発言はなんだかなと思ったわけですよね。
せめてなんか今後のストーリーで活躍するので殺しませんでしたみたいに言ってほしかったわけよ。
あとまあ、殺したとしてもヒソカみたいに死後強まる念で復活させればいいじゃん。
必要な時に「糸で体の部位をつなげて実は生きてました」的な展開にすればいいと思った。撚糸縫合っていう回復アビもってるしな。