ラッセンの絵って、なんかキモくないっすか?
いやすみません。事前に誤っておきますが、わりと辛辣めです。ファンの人は申し訳ない。
いや、キレイだっていう人もいることは分かっていますけども、でも実際気持ち悪くないですか?!
なんかねキモイっていうのは強い言葉かもしれないけど、まじまじと見て欲しい。一度。
なんかこうね、視界の端で見る分には良いんですよ。「ああ絵があるなぁ」で済むけど、なんか一度それを視界の中心に持ってきて注意して見てください。
ちゃんと拡大して恐れず逃げずに見てください
見ましたか?
なんか驚いたよね。「こんなに気持ち悪いのか!」と、
すごいなんか船酔いに近い感覚があるというか。
いやね、別にこれを好きっていう人の気持ちも分かるわ。
なんか普通に色彩はキレイだし。
でもなんだろうな。なんでなんだろう?なんか人間が書いたとは思えないというか、むしろすごい絵なんじゃないかと思った。
ここまでなの!?ここまで気持ち悪かったんだ!!って。
なんかAIの絵に似てる感じもするというかさあ。なんか違和感みたいなのが常にあるというか。
そう思ったら他にもそう思ってる人がいた。
ラッセンの絵って何か気持ち悪くないですか?別に絵を学んだことは... - Yahoo!知恵袋
良かった。
でもその回答は俺の納得行くものじゃなかった。
「この気持ち悪さは俗物的なモチーフが原因だ」とか言ってるけど、でも単にイルカとか海とをを書いている絵って他にもあるでしょ?モチーフが原因ってわけじゃないでしょ。
というわけで画像検索で絵を見て考えてみたんだが。気がついたことが有る。
なんかこう、全ての絵が同じ気持ち悪さを持ってるんじゃなくて、強弱があるというか。
「あっ、これは好きかもしれない」ってのもあるし、「うわっ!これグロだろ!」ってやつもある。
そのグロいと思う部分は、なんかこう、生き物がなんか敷き詰められてるところが嫌いだな。
なんかこう、ウミガメとか熱帯魚とかが、遠近感とかを無視して並べられてる部分が怖い。
なんか現実離れしている。写実的なのに。
ん?写実的なのに現実離れ?
と、ここで俺はその気持ち悪さの正体に気がついた。
おそらくこういうことではないか。
写実的で、かつ現実離れした構図しているから
そうつまり「不気味の谷」という現象ではないかと。
現実に寄っているようで、現実ではない。
俺は不気味の谷という感覚が理解できなかったがこれで理解できた気がする。
アカラサマに現実ではない、例えば子供の落書きとかならば、首が異様に伸びててもなんとも思わないが、リアルで首が異様に長い人がいたら怖いと思うわけですよね。それが気持ち悪さのコアなんじゃないか。
ラッセンも同じで、写実的なのにもかかわらず写実ではありえない構図であるというのが気持ち悪いのだろう。
動物が等間隔に画面に敷き詰められているっていう、そのリアルでは絶対にそういうことありえないじゃん。もっとバラバラになってるわけじゃん。水族館とかを見ててももっとばらついて泳いでるわけじゃん?
そのバラツキというか自然さをラッセンは一切やろうとしてない。まっすぐ、いやまっすぐというかそもそもそういう感覚がないのではないのかと。それが彼の個性なんじゃねーかと。
でも仮にもしこれがホラーな絵で、さっき行ったように首が長い人間みたいな怖い絵だったとしたら、そこまで気持ち悪くないと思う。
そういう怖いっていうジャンルだから気持ち悪いのは当たり前だよね。で終わるわけじゃん。
SCP-173っていう原初のSCPは、実は日本の芸術家が作った彫刻なんだけど、すごい不気味なわけですよね。ほらよそ見すると瞬間移動するやつ。
あれは怖いやつというジャンルだから「まあ怖くても当たり前だよね」で終わるわけじゃん。
でもラッセンの絵はそうではなく、あくまで「美しい自然の風景」というジャンルなわけで、その建前と、「不気味の谷」という現象に食い違いが起きてなんか嫌な感じになるわけですよね。
例えるならそう、ミッドサマー的な、みんなが「これは正しいですよ」って言って普通にやってることが常軌を逸していたら怖くないですか?
それと同じで「これは美しい絵ですよ」って見せられた絵が違和感を持ってるとどうしてもギャップを感じてしまうのです
でもそのギャップが強すぎて、むしろ「これは気持ち悪さを楽しむための絵なんじゃないか」と考えると、逆に「やるじゃん」っていう思いがあるんですよね。
結局芸術って自由だから。
ラッセンはよく俗物的だとか言われるけど、でもラッセンだって芸術の一つだよ。
こういうキャラがいてもいい。雨の中踊るやつがいても良い。
公式サイト
Official Online Gallery of Christian Riese Lassen - Lassen Art