芥川龍之介の河童(若干ネタバレ)(’無料で読める)

私はかまみくというクソ面白いラジオを見るのだが、そこで「走れメロスを読む」という企画があった、

そしてみくのしんが「小説すげー!」って感動しているときに最後らへんに「じゃあ河童も見てみろよ」みたいな流れになった。

 

なんか青空文庫というサイトで無料で読めるらしい。

 

芥川龍之介 河童 (aozora.gr.jp)

 

結局ラジオでは河童は読まなかったのだが、俺は気になって読んでみた。

 

しかしなんかこう読みづらい、文体が昔のやつだった。「でせう」みたいな。なんかよみがなも今と違うし。

 

なんか読みにくいなと思った俺は、とりあえず音声読み上げ機能を試してみたのだ。

 

なんかEDGEのURLの隣のところにある、Aという文字のアイコンを推すと自動読み上げがスタートする。

 

これでんあかこう、読むときのリズムというか、温度を取ってくれるので、読みやすくなるのである。

 

なんか文字がすべるというか、集中が分散してしまうのが読書の難しいところなので、それをこれでカバーするのである。

 

しかしこの自動読み上げ機能、なんかページ送りが停止したりしなかったりするので、なんらかのバグがあるというかなんというか、デフォルトの読み上げ機能じゃなくてアドオンのほうがいいのかもしれない。でもまあとにかくそれで読んでみたのだ。

 

そしたら、面白い!!

 

そして、、これが教科書に乗らない理由がわかった!!なんかグロいぞこれ!!

 

普通に子供がショック受けるような描写がある。例えば共食いとか、機械化自動化していらなくなった労働者を肉に加工して普通に食うとか、女が男を追いかけるとか。

 

いやまあ、それらは河童なんですけどね。

 

どういうことかというと、この作品は異世界ものなんですわな。

 

なろう系とかではなく、異文化ものといったほうが正確か。

 

なんか主人公が人間の世界ではなく、河童の世界に迷い込むというお話なんだが、そこは普通妖怪と聞いてイメージするような河童ではなく、ほぼ人間に近い知能や文化を持っているわけですよね。

 

普通に機械が使われてたり、自動車が行き交ってたり、芸術家や実業家などもいるっていう、そういう河童の世界なわけですわな。

 

なんか普通河童と聞くと、もっとこう原始的な動物に近い生き物を想像しがちだが、ほぼ人間と同じなわけですよね。

 

そして今思ったのだが、東方Projectの河童もなんか機械に強いって設定だったなって思ったわ。おそらくZUNさんは芥川龍之介の河童をモチーフにしてるんだろうか?なんかスペルカード名も芥川龍之介の河童って名前が合った気がするし。

 

まあね、とにかく面白いのが、ディティールというか、リアリティなんだよね。

 

異文化的だから創作なわけだけども、なんか現実にありそうみたいな部分が描写されているわけですわな。それと意外性。

 

例えば河童の体表は緑ではなく、カメレオンみたいに周囲の色に溶け込むように色が変化するみたいな、河童の皿は若いころは普通の髪の毛だが、年をとると固くなって皿のようになるとか。

 

そういうね、生態みたいなのを説明してるのがリアリティ。

 

なんかこれ、「ゆ虐」に似てるなって思うわけですよね。

 

すべての作品がそうではないが、ゆ虐もそういったゆっくりの生態観察みたいなのが合って、一つの世界観を構築しているのが好きだな。

 

 

 

そしてそれいがいにも魅力があって、色々と「これ人間社会と同じじゃん」みたいなところがあるというかね。

 

人間社会を皮肉っている感じもありますよね。

 

例えば前述の、労働者を肉にして食う、という描写も、露悪的であるが、しかし人間も同じではないかと思うわけですよ。

 

前に三橋TVというチャンネルで、「昔の文豪は、黒船来航文明開化で”日本は終わった”と確信した」と言っていたわけですが、

つまりなんかこう、利益主義で生身の人のことを考えない、という流れに日本が巻き込まれていくという、そういう世界になってるわけですよね実際。

 

それを芥川龍之介も思っていて、河童という作品を作ったのではないかと。

 

なんかこうね、ゆ虐もそうですけど、ゆっくりと人間って同じですよね、みたいなそういう皮肉があるというかね。

 

黙示録というか、実際に名指しでそれを批判するのではなく、「これは人間のことではありませんよ~、だから別に好き勝手やっていいよね」みたいな。

 

そういう皮肉というか批判。

 

よくドラえもんの映画で「人類にもいいやつがいるよ!」みたいなそういうノリというかね、「人間以外の悪い知的種族」に対して、「あなたたちは間違ってる!」で「秘密道具を使って解決、でも敵が指摘した人類の悪いところは解決してないよな」、みたいな

 

割りとドラえもん映画ってそういうところあるよな。いやガバガバ設定なだけだと思うけども。

 

なんかそういうのとは真逆で、河童はある意味内省的で、「人類以外の醜悪な知的種族」に対して、「ああ醜いな」ということを見せて、別に解決はしないけど、あれ?これって人間も人間じゃね?っていうかね。

 

人間も同じじゃないの?河童馬鹿にしてるけどお前らは。ばかにできるほどお前らは立派なんですかっつーかね。

 

なんかこう、嫌悪させるみたいな、鏡を見せて、「これがお前の本来の姿だ」みたいな手法というかね。

 

あとなんかね、最近この作品の価値というか、未来予測的な部分というかね。

 

「女が主導を握って男を追いかけ、時には弱者男性を罠にかけて殺す」、みたいな描写も、なんか当時の性的な観念がよくわからないからわからんが、なんか今のなんというかね、助成による痴漢冤罪とか、男女平等ではない、女性優遇されすぎな問題とかを先取りしてるよな。

 

 

なんかそう考えると、芥川龍之介、パねえなって思うわ。

 

まあとにかく、自動読み上げ機能、オススメ。